CVRが低い原因は「プロ意識」という名の自己満足かもしれません。「顧客のニーズは分かっている」という傲慢さが生む、問い合わせ激減を招くホームページの3つの構成パターンと、成果を出すための顧客視点への回帰原則を解説します。
あなたは、自社のサービスや製品について、深い知識と経験を持つ「プロフェッショナル」であることに疑いはないでしょう。
このプロ意識は素晴らしい財産ですが、Webサイト運用においては、時に「問い合わせ激減」という最悪の結果を招く「傲慢さ」へと変貌することがあります。
その傲慢さとは、「私たちは顧客のプロだから、顧客が本当に欲しい情報や、どのようなプロセスで購買を決定するかは、すべて理解している」という『思い込み』です。
この自己満足的な思考は、Webサイトの設計に以下の致命的なズレを生じさせます。企業が語りたいことが最優先され、顧客が知りたいことが後回しになるのです。
本記事では、「私たちは顧客のプロ」という傲慢さが生む、問い合わせ激減を招くホームページの3つの構成パターンを指摘し、CVRを回復させるための「顧客視点への回帰原則」を解説します。
自己満足の Web サイトは、顧客の購買心理を完全に無視し、企業の都合だけで情報が配置されています。
顧客が最初に知りたい「どんな課題を解決してくれるのか?」ではなく、「〇〇機能搭載」「△△の技術認証取得」など、顧客にとって意味が理解しにくい専門的なスペックをトップページで熱弁しているパターンです。
「創業者の熱い想い」「企業理念の詳細な解説」「30年にわたる歴史」といった、顧客が購買を決める前段階では全く必要としない情報が、サイトの主要導線に配置されているパターンです。顧客は「だから何?」と感じて離脱します。
業界内では常識とされている専門用語(例:XaaS、レガシーシステム、インテグレーション)を、注釈なしに多用しているパターンです。顧客は「自分には難しすぎる」と感じ、購買の検討段階から自己排除してしまいます。
顧客は、あなたの「製品やサービス」ではなく、「自分が抱える痛みや課題」を解決してくれるものを探しています。プロであるなら、顧客の痛みを言語化し、そこから会話を始めましょう。
Webサイトのファーストビューで、「〇〇なことでお困りではないですか?」という、顧客が抱える具体的な課題を提示します。そこから、「その課題は、当社の△△で解決できます」と、製品を後から紹介する流れにします。
専門的な機能の説明の代わりに、「このサービス導入前は〇〇だったが、導入後は△△になりました」という、顧客が得られる具体的な未来(ベネフィット)を強調します。
顧客が「これは私のためのサイトだ」と瞬時に認識できるかどうかが、CVRの分かれ道です。
プロの言葉は、素人(見込み客)にとっては障壁です。専門知識を顧客に「教え込む」のではなく、「分かりやすく噛み砕いて提供する」のが、真のプロの役割です。
どうしても専門用語を使う必要がある場合は、必ずその場で括弧書きや注釈で平易な言葉に翻訳します(例:SaaS(サービスとしてのソフトウェア))。これにより、顧客の理解度と安心感が向上します。
トップページやサービス導入ページの目立つ位置に、「〇〇を初めて導入する方向け」「よくある誤解」といった、初心者の不安や疑問を解消するコンテンツへの導線を配置します。
Webサイトの言葉は、顧客の知識レベルに「合わせる」ことが、CVR向上のための最低限の礼儀です。
顧客がサービスを検討する段階で最も必要とする情報は、「価格」「実績」「信頼性」です。これらを隠したり、探しにくい場所に置いたりしてはいけません。
可能な限り、「料金プラン」を明確に開示し、他社との比較を容易にします。価格の隠蔽は、顧客の不信感を煽り、離脱を招く最大の要因です。
「満足しています」といった抽象的な感想ではなく、「〇〇という課題が、△△の機能で解決しました」という、顧客の具体的な課題と解決策を示した声を、トップページから導線がある主要な場所に配置します。
顧客が「あと一押し」で決断できる情報を、彼らが最も必要とする瞬間に提供できるよう、導線を再設計しましょう。
Webサイトにおける真のプロ意識とは、「自分たちが何を言いたいか」ではなく、「顧客が何を求めているか」を徹底的に優先し、その結果として『顧客の成果(CV)』を生み出すことにあります。
「私たちは顧客のプロ」という傲慢さを捨て、以下の3原則に基づき、あなたのWebサイトの設計を見直してください。
顧客視点に徹したホームページは、必ず高いCVRという形であなたのプロ意識を証明してくれるでしょう。
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