Webサイトの高速化、特に画像の最適化は、ユーザーエクスペリエンス向上とSEOにとって非常に重要です。従来のJPEGやPNGに代わり、近年注目されているのがWebPとAVIFという画像形式です。

はじめに

画像形式の進化

 インターネットの普及と共に、画像技術も急速に進化を遂げています。かつてのJPEGやPNGといった画像形式は、長らくウェブ上での標準的なフォーマットとして広く利用されてきました。しかし、これらの形式では大容量画像の表示速度が課題となっていました。このため、新しい画像形式の開発が進められ、WebPやAVIFなどの次世代フォーマットが登場しています。特にWebPは圧縮率が優れ、非可逆・可逆両方に対応しており、多様な用途に適しています。さらに、2010年に登場したWebPを超えて、2020年に発表されたAVIFは、より高い圧縮効率を誇り、再度ファイルサイズの大幅な削減を可能にしているため、近年注目を集めています。

Web体験の高速化の重要性

 現代のユーザーは、迅速かつスムーズなWeb体験を求めています。ページの読み込みが遅れると、離脱率が上昇し、サイトの成果が損なわれることが多数の研究で証明されています。特に画像が多用されるサイトでは、画像の読み込み速度が全体のパフォーマンスに大きく影響を与えるため、画像形式の選択が鍵となります。Googleも、ネットワーク総転送量を1.6MB以内に抑えることを推奨しており、大容量のデータに対して圧縮効率の高い形式を選ぶことが重要です。WebPやAVIFのような新しい画像形式を導入することにより、高品質を維持しながら、ユーザーにとってのストレスを軽減し、これによりコンバージョン率の向上も期待できます。

次世代画像形式WebP

WebPとは

  WebPは、Googleが2010年に発表した画像形式で、ウェブ上での画像表示の効率化を目的としています。WebPは、jpgやpngに比べて圧縮性能に優れており、そのため、より高速なWeb体験を提供することができます。この形式は、可逆および非可逆圧縮の両方に対応しており、透過画像のサポートも含まれています。これにより、WebPは多様な画像のニーズに応じて柔軟に対応できるのが特徴です。

WebPの特徴と利点

  WebPの特徴として、圧縮率が非常に優れている点が挙げられます。画像データを効率よく圧縮できるため、ファイルサイズを大幅に削減することが可能です。例えば、同じ非可逆圧縮条件でのpngやjpg形式と比べても、WebPはさらに小さなファイルサイズを実現します。具体的には、PNGからWebPに変換することで約20%のサイズ削減が可能です。これにより、ページのロード時間が短縮され、ユーザー体験が向上すると同時に、SEOにおける評価も向上します。また、透過機能もサポートしているため、デザイン性の高いウェブサイトにおいても便利に利用できます。

WebPによるWeb体験の改善事例

  実際にWebP形式を導入することでWeb体験がどのように改善されるかという事例も多く報告されています。例えば、高トラフィックを抱える大手メディア企業がWebPを導入することで、帯域幅の節約とウェブページ全体のパフォーマンス向上を図ったケースがあります。この企業では、ページの読み込み速度が顕著に向上し、ユーザーの滞在時間が伸びるという顕著な効果が現れました。また、WebPへの変換ツールを活用することで、jpgやpngから高圧縮率での変換が可能となり、複数の異なるデバイスにおいても高画質な画像表示が可能となる点は、多くの企業にとって大きな利点となっています。

さらに進化した画像形式AVIF

AVIFとは

 AVIFとは、AV1(AOMedia Video 1)コーデックをベースにした次世代の画像形式で、Alliance for Open Mediaによって開発されました。この画像形式は、既存のJPEGやPNG、WebPといった画像形式に対し、大幅な圧縮効率の向上を実現しています。AVIFは、2020年に登場した比較的新しい技術でありながら、すでに多くの主要なブラウザでサポートが進んでいることが特徴です。

AVIFの特徴と優位性

 AVIFの最大の特徴は、その高い圧縮効率にあります。従来のJPEGやPNGと比較して、より小さなファイルサイズで高品質の画像を提供できるため、Web体験の高速化に貢献します。また、AVIFは可逆圧縮と非可逆圧縮の両方に対応しており、WebPと比較してさらに10%から30%ほどファイルサイズを削減することが可能です。さらに、透過対応も可能であり、PNGと同様の透明度を保ちながら、ファイルサイズを抑えることができます。

AVIFの導入による効果

 AVIFを導入することによって、Webサイトの表示速度が向上し、データ転送量が抑えられます。このことは、特にモバイル環境におけるユーザー体験の向上や、SEO対策において重要な効果をもたらします。Googleが推奨する「1ページあたりのネットワーク総転送量を1.6MB以内」にするためにも、AVIFのような高効率の画像形式を採用することは有効です。さらに、AVIFのサポートは着実に拡大しており、主要なブラウザでの互換性が確保されているため、Webサイトの正常な表示が期待できる点もメリットです。

WebPとAVIFの比較

圧縮率の比較

 画像形式において圧縮率は非常に重要な要素です。JPEG、PNG、WebP、AVIFの中で、圧縮率が特に優れているのはWebPとAVIFです。WebPは可逆・非可逆圧縮を兼ね備え、JPEGと比べても優れた圧縮効果を発揮します。たとえば、非可逆圧縮の場合、JPEGのサイズをWebPに変換することでさらに約20%削減できることが確認されています。一方、AVIFはさらに進化した圧縮形式であり、WebPと比較しても10-30%の追加削減が可能となっています。これにより、AVIFは特に大容量画像の表示速度向上に貢献します。

対応ブラウザと互換性

 画像形式の採用を考える際、ブラウザごとの対応状況は重要なポイントです。WebPは2020年時点で主要なブラウザのほとんどでサポートされており、多くのWebページで利用可能な状態です。AVIFについても、2024年には主要なブラウザすべてが対応し、特にEdgeも対応完了となっています。したがって、互換性の面ではどちらも非常に優れていますが、AVIFは今後の普及が急速に進んでおり、さらに幅広い場面で利用が進むことが予想されます。

画質と表示速度のバランス

 Webサイトの高速化において、画質と表示速度のバランスは非常に重要です。WebPは高圧縮率を維持しながら、画質の低下を最小限に抑えることが可能なため、現行のWebページには最適な選択とされています。実際の利用例では、PNGからWebPに変換することで、質を犠牲にすることなくファイルサイズを大幅に削減し、ページのロード時間を短縮しています。一方でAVIFは、さらに圧縮効率が高く、WebPよりも小さなファイルサイズで高画質の画像を提供することが可能です。このため、将来的にはAVIFが、より良いバランスを求める場面でますます採用されていくでしょう。

実際の適用と実験結果

導入事例

 WebPやAVIFのような次世代画像形式を導入すると、Webサイトの表示速度が飛躍的に向上します。特に、高品質を保ちながらファイルサイズを大幅に削減できるため、画像の表示速度も速くなり、ユーザーエクスペリエンスが向上します。たとえば、大手EコマースサイトではAVIFの導入により、ページロード時間が約25%短縮され、離脱率の低下とコンバージョン率の向上につながったという報告があります。また、メディアプラットフォームではWebPを採用することで、画像の読み込み時間を削減し、サイト全体のSEO効果が向上した事例が報告されています。

実験結果とその分析

 実際に、異なる画像形式を用いた圧縮率の実験が行われ、その結果が比較されました。JPEG画像を用いた場合、圧縮率に基づいてそのファイルサイズが大きく削減されましたが、画質の劣化が課題として残ることが確認されました。一方で、WebPは可逆・非可逆の両方に対応しており、可逆的に圧縮する場合でも平均約20%のファイルサイズ削減が達成されました。さらに、AVIFを用いることで圧縮力が増し、WebPよりもさらに10-30%のファイルサイズ削減が可能という実験結果が示されており、対応ブラウザの範囲も拡大しています。

 これらの実験結果から、WebPやAVIFの利用が大容量画像の表示において非常に効果的であることが確認できます。特に、データ転送量の削減はページ表示速度の向上に直結し、ユーザーの離脱率を低下させる重要な要素となっています。このような実践的な導入は、これからのWeb開発に不可欠と言えるでしょう。

まとめ

新しい画像形式の可能性と課題

 新しい画像形式であるWebPとAVIFは、Web上での画像表示において特に重要な役割を果たしています。これらは、従来のJPEGやPNGと比較して圧縮率が高く、ファイルサイズを大幅に削減することが可能です。WebPは特に現在の市場において、速度と容量の面で優れた選択肢として広く採用されています。また、AVIFはさらなる圧縮効率を提供し、ファイルサイズをさらに削減できることが知られています。しかし、それぞれの画像形式には転送速度、対応ブラウザ、透過能力といった宣伝の要素があります。これらの課題を乗り越えることで、新しい画像形式はWeb体験をより快適にする可能性があります。

今後の展望と方向性

 今後の展望として、WebPとAVIFの普及が進むことで、より高速なWeb体験が実現されることが期待されています。実際、2024年の時点で主要なブラウザは既にAVIFに対応しており、WebPの導入も急速に進んでいます。また、高解像度画像のトレンドに合わせて、これらの形式における高圧縮率が求められるようになるでしょう。大容量データの転送がWebパフォーマンスに及ぼす影響を軽減し、SEO効果を高めるためには、このような新しい画像形式の導入がますます重要になってきます。将来的には、AVIFが更なる普及を遂げ、Web画像技術における主要フォーマットとなる可能性があります。

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